[面接質問]
学習障害とは何でしょうか。

学習コーチより

(1) LDの定義
文部科学省「教育支援資料(平成25年10月)」に次のように示されています。
「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。」

(2) LDの特性
LDは、感覚器官を通して入ってくる情報を受け止め、整理し、関係付け、表出する過程のどこかで十分に機能していない部分があると推測されます。そこで、「聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する」などの能力のうち、いずれかの部分に困難さがあらわれます。認知(情報処理)過程の部分的な障害であるため、得意、不得意の差が大きく、困難さの現れ方が一様ではありません。そのため、やる気のなさや集中力の問題などと間違いやすく、気付かれにくい障害です。
児童生徒の困難さを把握するためには、心理検査をもとに、それぞれの認知の特性を理解することも一つの方法です。そしてその特性に応じた指導法を工夫します。例えば、視覚的な情報処理が得意な児童生徒には、黒板や実物投影機、ビデオ、絵図などの視覚情報の資料を多く活用して指導することが効果的です。このように、得意とする認知の特性を活用することが指導法のポイントとなります。

(3) LDのある児童生徒の支援
LDのある児童生徒の中には、見て理解することは得意でも、聞いて理解することが苦手な児童生徒がいます。逆に、聞いて理解することは得意でも、見て理解することが苦手な児童生徒もいます。見て理解することが得意な児童生徒は、言葉による説明だけでなく、その内容を実物や絵で示したり、実演したりすると分かりやすくなります。言葉で詳しく説明するよりも、完成したものを見せて「今日はこういうことをします。」と伝えた方が、何をすればよいのかが把握しやすくなります。一方、聞いて理解することが得意な児童生徒は、実物を見せたり、やってみせたりするだけでは、どこからどのように手をつけたらよいか把握しづらいので、言葉で一つずつ説明してもらう方が分かりやすくなります。例えば、「最初に○○します。」「二番目に△△をします。」などと継次的に説明するのが有効です。また、自分で見ているものを的確に分析することも難しい場合があるので、「□□のように見えるね。」「××の上に◎◎があるね。」などと情報を言語化することも効果的です。

<参考文献>
文部省(1999)「学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関する調査研究協力者会議」(報告書)、
埼玉県立南教育センター(1999)「学習障害(LD)児等の指導に関する調査研究」研究報告書 第266号、文部科学省(2004)「小・中学校におけるLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)」