[面接質問]
児童生徒を見ていますと、各学期末に受け取る通知表(通信簿)が自分の成績のすべてであるかのように受け取る傾向も見られます。たとえ評価が下がったとしても、通知表を手にした児童生徒が、さらに意欲をもって次の学期へ向けて頑張るようにするには、どうしたらよいでしょうか。

学習コーチより

(1) 「通知表」の意義
「通知表」は指導要録とは異なり、公簿ではありませんが、学校から家庭へ知らせる児童生徒の教育に関する大切な情報です。学校での学習や生活の状況、変化や成長の記録であり、その後の学習や生活に役立てていくものです。教師・学校と児童生徒・保護者をつなぐ役割があります。
「通知表」には、決まった形式がありません。学校がそれぞれ工夫して作成することになります。

(2) 「通知表」の評価のポイント
ア 一人一人の普段の学習や生活における言動、学習成果をよく観察し、記録を積み重ねておくことが大切です。
イ 目標や評価規準に照らして一人一人の現状を把握し、学期や学年にわたる変容や成長をとらえるようにします。
ウ 一人一人のよい点や可能性、努力している点、成長している点、改善が必要な点等を把握し、所見・通信欄を活用して具体的に伝えるようにします。

(3) 「通知表」を指導に生かす
「通知表」は、児童生徒が自らの生活や学習を振り返り、新たな目標や課題をもつきっかけにしていかなければなりません。そのためには、「通知表」を手渡す前後に、場を設定して、教師が適切な指導を行う必要があります。

指導を学級活動や学級での指導として学級全体で行うことは効果的です。自己評価や児童生徒の相互評価を工夫して取り入れることで、自分の生活や学習の様子を改めて見つめ直し、自分のよい点や可能性を自覚させ、意欲を向上させることにつながります。

また、児童生徒と個別に話し合い、個に応じた適切な指導を行うことも大変重要です。評価の資料等を基にしながら、自分の学習や生活の状況を振り返らせ、新たな目標や課題をとらえて、その後の学習や生活に意欲がもてるよう導いていきます。その際、児童生徒のよい点や努力の過程を認め、励ますことを基本とします。その上で、改善・向上のための具体的な方法を明らかにしていくことが肝要です。

児童生徒の「通知表」の評価は、「教師自身の指導に対する評価」でもあります。教師は自らの指導を振り返り、その改善に努めていかなければなりません。