[場面指導]
問題行動を重ねる児童生徒がいますが、保護者の教育力に不安があるため、効果的指導ができません。指導する上で地域や他機関との連携が必要だと考えられますが、どんなことに配慮して指導や対策を進めたらよいでしょうか。

学習コーチ

(1) 地域や他機関との連携の重視
生徒指導を進める上で、地域や他機関と協力・連携を図ることは大切なことです。特に、保護者の教育力に不安があるときや期待がもてないときは、地域や他機関へ積極的に協力を求めることが必要です。また、最近の児童生徒の問題行動の背景には、児童生徒の意識と行動の質的変化が加わっており、児童生徒の心理面に関する専門的な判断の必要性や学校だけでは対応できない新たな問題が増えてきていることを十分に認識する必要があります。

(2) 適切な判断の下の積極的な連携
地域や他機関と連携して指導していく場合、次のことに留意することが大切です。

ア 地域や他機関との連携の必要性が生じたとき、決して個人的立場で行動しないことです。他機関と連携するのは学校であって、指導に直接かかわる教師個人ではありません。したがって、他機関などとの連携の必要を感じたら、まず学年主任、生徒指導主任などに話して共通理解を図り、さらに校長の指示を受けて行動します。

イ 他機関へ相談をするときは、当然、慎重かつ的確な判断を要します。学校でなすべき指導を十分に尽くさないまま関係機関などへ問題を持ち込むようなことは避けなければなりません。しかしながら、学校が校内ですべての問題を解決しようとする「抱え込み」意識は、必ずしもよい結果に結び付きません。問題の状況に応じ、速やかに関係機関に率直に相談し、事例によっては、役割分担を明らかにしつつ、主たる対応を別の機関にゆだねる場合も考えられます。今後、学校・家庭・地域社会がそれぞれの役割を担い、児童生徒の健全育成に向け、積極的な連携を進める必要があります。

(3) 問題行動の種別や要因による連携先の決定
保護者が抱えている問題が経済面に起因するなら民生委員・児童委員、福祉事務所などの機関に、また保護面に問題があるのなら保護司、児童相談所、児童自立支援関係の施設などの機関に、生活面の問題なら総合教育センター、教育相談所、そして、非行面の問題については、警察署などにというように、ケースに応じて最適の連携先を選ぶことも大切です。今後は、地域の学校警察連絡協議会(学警連)や小・中・高等学校等合同生徒指導委員会などの組織の活性化を図るとともに、日頃から関係機関との積極的な連携を進めたいものです。