[場面指導]
私が担任するAさんは、学級の中でも大変明るく活発で、授業中も意欲的なのですが、学習内容の理解については他の生徒より遅れがちです。Aさんのような生徒の指導はどうしたらよいでしょうか。

学習コーチより

(1) 学習の遅れがちな原因の究明

担任として最初に手掛けることは、その原因は何かを調べてみることです。例えば、前学年までの基礎的な学習のつまずきが、それ以降の学習に遅れを生じさせた場合もあるでしょうし、また、本人の学習の仕方などに問題があり、そのことが原因となって遅れる場合もあるでしょう。Aさんの場合も、何が原因なのか、次のようなチェック項目について教師の指導方法の問題も含めて調べてみることが大切です。

ア 健康上の問題はないか(例、目や耳の機能・鼻や喉に問題がないか)

イ 学習していくためのレディネスに課題はないか(例、既習内容の学習状況)

ウ 学習方法や学習習慣に課題はないか(例、学習への取り組み方)

エ 教師の指導方法が適切か(例、学習形態・教え方・ほめ方・しかり方・動機付け)

(2) 遅れを生んだ原因の解消

児童生徒は様々な動機によって、学習に対する興味をもち始めるものです。そこで、Aさんの学習の遅れの原因が分かったら、まずそれを解消するための特別の対策や処置を行い、次に学習への動機付けを図っていく必要があります。

ア 健康上の問題が認められたとき専門医の診断と治療を早目に受けるよう家庭に連絡を取る。

イ 学習の仕方に原因が認められたとき

(ア) 個別に指導する。例えば、机間指導をして、理解しにくいと思われるところを指導するなど。

(イ) Aさんに対する発問や助言は、学習内容や活動のステップを小刻みにして、Aさんが考えやすくする。

(ウ) 既習事項を基にしたり、観察、操作や実験などの具体的な活動を取り入れたりして、学習課題を明確にとらえ学習できるようにする。

(エ) 放課後などを利用して遅れを取り戻すための個別指導をするなど、補充指導の場をつくる。

ウ 教師の指導法に原因が認められたとき

(ア) 先輩等に自分の授業を見てもらい、指導法のどこに問題があるか助言してもらう。

(イ) ティーム・ティーチィングやグループによる学習形態等を取り入れ、Aさんに適した指導ができるように配慮する。