[場面指導]
ある雑誌の「忘れられない先輩教師」という随想欄に、「C先生の板書は生きていた」と題して次の文章が載っていました。「…子供は水を打ったような静けさの中で、かたずを飲んで板書を見つめ、だれ一人目をそらす者がいなかった。」これを読んで私も少しでもC先生を見習おうと、板書の技術向上に打ち込んでいるのですが、思うような板書ができないで悩んでいます。どんな点に気を付けたらよいでしょうか。

学習コーチより

(1) 生きた板書

「C先生の板書は生きていた」というのは、おそらく消してしまうのが惜しいような板書だったからではないでしょうか。本来、板書とはそういうものです。よい板書にするためには、十分な準備が必要です。あなたもこの点に気付かれて、努力しているようですが、思うような板書ができるようになるには、次に掲げる板書の「ポイント」を押さえておくことが大切です。

(2) 板書の教育的意義

ア 学習内容の要点・重点の意味を含んでいること。
イ 学習内容の継続的指示であること。
ウ 1枚の板書で、子供の学びの思考過程が明らかにされること

(3) 板書のタイミング

ア 授業の導入段階などで学習活動を指示したり、ねらいや課題を提示したりするとき。

イ 学習内容で児童生徒に強調したい事項があるとき。

ウ 児童生徒にとって学習内容についての理解が困難なとき。

エ 話し言葉だけでは児童生徒にとって理解が困難なとき。

オ 学習内容の発展的展開をしたいとき。

カ 授業の途中や終わりの段階で学習内容のまとめや学習内容の定着を意図するとき。

生きた板書にするためには、そのタイミングを誤らないようにしなければなりません。たとえ書いた内容は同じであっても、タイミングよく書いたのと、タイミングをはずしてしまったのとでは学習効果に差が生じます。早過ぎると児童生徒は、受け入れの用意が整わないことがあります。また、反対に遅過ぎると、せっかく盛り上がった気持ちがしぼんでしまいます。
なお、文字は、丁寧に正しい筆順で書くことが基本であることを常に心掛けることです。