[面接質問]
ADHDについて、あなたの知っていることを述べなさい。

学習コーチより

(1) ADHDの定義

文部科学省「教育支援資料(平成25年10月)」に次のように示されています。 「注意欠陥多動性障害とは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、又は衝動性・多動性を特徴とする障害であり、社会的な活動や学校生活を営む上で著しい困難を示す状態である。通常7歳以前に現れ、その状態が継続するものであるとされている。注意欠陥多動性障害の原因としては、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されている。一定程度の不注意、又は衝動性・多動性は、発達の段階の途上においては、どの子供においても現れ得るものである。しかし、注意欠陥多動性障害は、不注意、又は衝動性・多動性を示す状態が継続し、かつそれらが社会的な活動や学校生活を営む上で著しい困難を示す程度の状態を指す。」

(2) ADHDの特性

ADHD(注意欠陥多動性障害)の特徴的な状態は、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つに現れます。(現れ方は様々です。)

不注意
○ 学校での勉強で、細かいところまで注意を払わなかったり、不注意な間違いをしたりする。
○ 課題や遊びの活動で注意を集中し続けることが難しい。
○ 面と向かって話しかけられているのに、聞いていないように見える。
○ 指示された活動を最後までやり遂げられない。
○ 学習などの課題や活動を順序立てて行うことが難しい。
○ 気持ちを集中して努力し続けなければならない課題を避ける。
○ 学習や活動に必要な物をなくしてしまう。
○ 気が散りやすい。
○ 日々の活動で忘れっぽい。

多動性
○ 手足をそわそわ動かしたり、着席していても、もじもじしたりする。
○ 授業中や座っているべき時に席を離れてしまう。
○ きちんとしていなければならない時に、過度に走り回ったり、高い所によじ登ったりする。
○ 遊びや余暇活動におとなしく参加することが難しい。
○ じっとしていない、または何かに駆り立てられるように活動する。
○ 過度にしゃべる。

衝動性
○ 質問が終わらないうちに出し抜けに答えてしまう。
○ 順番を待つのが難しい。
○ 他の人がしていることをさえぎったりじゃましたりする。

この障害には、不注意優勢型、多動性-衝動性優勢型、混合型の3つのタイプがあります。
なお、ADHDの児童生徒は、LDを併せて有していることも多いと言われています。

(3) ADHDの児童生徒への支援

ADHDの児童生徒への支援は、児童生徒の状態を正確にとらえ、分かりやすい支援をすることが重要です。支援のポイントは、

次の通りです。
○ 落ち着ける環境を作ること。
○ 成功体験を積み重ねること。
○ 認知の特性を活用すること。
○ 目標が具体的で、見通しがもちやすいこと。

いずれもごく当たり前のことですが、ADHDの児童生徒に対しては特に意識して行うことが大切です。具体的な支援として、まず、学校では、活動する場面を計画的に設定するとともに、刺激を制限した落ち着ける場をつくることが必要です。また、指示や説明は、注目させてから簡潔に行うことが効果的です。

次に、学習の苦手さや友達関係でのトラブルなどで自信をなくしたり、消極的になったりする場合もあります。そのような児童生徒には、先生や友達から認められたい、褒められたいという承認欲求の充足が、やる気を喚起します。したがって、係活動や得意な教科での出番を設定することなどが効果的です。適切な理解と支援が、児童生徒の二次的障害の予防に役立ちます。

(4) システムアプローチと個別の指導計画

ADHDの児童生徒に限らず、LDや高機能自閉症の特別な配慮の必要な児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた支援を行うには、学校全体や専門機関も含めたシステムアプローチと、個別の指導計画の作成が必要です。

〈参考文献〉
文部科学省(2003)特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議答申、「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」